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本棚

本を読むだけですごく多くのことを学ぶし、色々と考えさせられる。世の中には知らないことだらけ。一生かかっても読みつくせないくらいの書物が出ているけど、なるべくたくさん読みたい。

2015年2月

いま語らねばならない戦前史の真相 / 孫崎享・鈴木邦男 著

すごく引き込まれて一気に読んだ。読んで本当に良かった。自分の頭でしっかり考え、謙虚に学び、情報収集して多角的に見てみることがいかに大切か。
この本でも指摘されているとおり、私も軍隊とマスコミが扇動する形で戦争に突入していったのだと思っていたけれど、一般市民も同罪だったのだ。
本当の意味で民主主義の育っていない日本という国を残念に思う。メインストリームじゃないものは異端として排除される、それを先に悟って無駄な戦いを避けるべく個人が沈黙してしまう文化。なんとも特殊な国だと思う。決してやりやすくはない。ますますやりにくくなり、急激に圧迫感を増しているようにすら感じる。
この対談の時点で危惧されていたことが現実のものになってしまった。テロリストの挑発とか、日本人の死とか。しかも世論の反応はひどかった。他のどんな国でもお目にかかれないんじゃないかというような理論が展開されていた。私の外国人の友達はドン引きだった。 ちなみにこの元・一水会の鈴木さんという方、確か人質の遺体返還を求めて交渉するということだったけど、その後どうなのだろう。自称右翼だけれど、ネトウヨとは真逆のまっとうなことを言う人で、右翼もまた戦後政治に悪用されて別のものになってしまったことが、これを読むとよく分かる。知らないことだらけだ。
とりあえず自分の手の届く範囲では、個人的な怒りや軋轢を解消し、言いにくいことでも声を上げるようにしたいと思う。

信念をつらぬく / 古賀茂明 著

あーこんなしっかりした人が希望を捨てずに日本を良くしていこうと頑張っているんだ〜、と素直にほっとした。自分の良心に背かない生き方というのは、できそうでできない。現実的には難しい。でもそれができるとストレスも溜まらず、力が湧いてくるし、仲間もできる。 それができないのは自分を信じていないから。つまり著者は自分を信じている。だからブレないでいられる。大腸がんを患って死と向き合ったことで余計に何が本当に必要なことなのかクリアになったのだろう。私のささやかな日常の中でも無意味な迎合やら取り繕うことやらを排除して、自分の信じるものをもっと大事にしていこうと思った。

ジプシーにようこそ! / たかのてるこ 著

読み始めたら止まらなくて一気に読んでしまった。とにかく偏見なく飛び込んで誰とでも打ち解ける著者ならではのエピソード満載。ジプシーに対する独自の解釈もとても素敵。今に生きて、ひたすら濃く生きて、過去にも未来にも生きない。飲んで踊って家族を大事にする。シンプルだけどできるようでできない暮らしをする彼ら。 職人やミュージシャンになるなど手に職をつける人が多いのは移動するからで、家にも土地にも興味がないのは彼らが生まれながらの旅人だから。今の世の中完全に生きづらいだろうなあ。税金取る側からしたらやりにくいだろうし。ヨーロッパではめちゃくちゃ嫌われて蔑まれている。かくいう私もパリのメトロで物乞いをして稼いでいるイメージが強かった。
でも生き方としては最高だと思う、10代前半で結婚して子供をもうける点を除いては。フリーランスとして何か技術を持って、旅をしながら暮らし、踊ってストレス発散なんて、なんか自分の目指していたものと近いように思う。
以前南フランスのSt Marie de la Merでジプシーが集まるお祭りがあるというので、それに合わせて行った際、本物のジプシーたちをこれでもかと見て、不思議な魅力を感じたのを思い出した。とにかく尋常じゃないくらいギラギラしている彼ら。ほかに形容し難いのだけど、これまで見たどんな民族よりもとびきりギラギラ(キラキラでなく)していた。 彼らが演奏する音楽は重厚で意識下に入り込んでくるようなインパクトがあった。女たちは肉感的で、なんというか、触ったら火傷するよ!というオーラをまとっていた。一般人とジプシーの区別は、そのオーラでついた。ギラギラ感の度合いで、向こうから歩いくる人がジプシーかどうか判別できた。身なりが貧しいとかそういう基準でなく。 この本を読んで、あのギラギラの正体がわかったような気がした。生きることへの貪欲さ。それは同じように奴隷扱いされて虐げられてきたユダヤ人とは違う。自分たちの国とか土地を欲するのではなく、ただ今を思い切り生きるということへの貪欲さ。 踊りが好きで、定住してもなんだか根を張れないのは私も同じ。これはちなみに母譲りなのだが、祖先のどこかにジプシーの血でも入っているのだろうか。

世界はすでに破綻しているのか? / 高城剛 著

経済には疎い私だけど非常に簡潔に書いてあるのでよくわかった。国が破綻する様、その中で人が生き抜く様を実際に見てきた著者ならではの視点がいい。毎度厳しいことをはっきり指摘しつつも、なぜか希望やわくわくする読後感を与えてくれる高城さん。
気になったのは、どの国も経済破綻には裏で何か操作したかのような恣意的に思えるきっかけやタイミングがあること。破綻を機にIMFなどが救済し、それから外資が民営化された事業をことごとく買いあさり侵略してきて、その仁義なき戦いぶりが本当にえげつない。そうやって全部が全部新自由主義的に染められ、その国や地域らしい暮らしが塗り替えられて、 世界全体が個々の色を失うばかりか全色混ぜ合わさって汚い灰色になるような感じもして、嫌悪感をもよおした。隙あらば利益を拡大しようとどの国も虎視眈々と構えており、現状に満足し維持していこうと考える政府はないように思う。政府だけでなく多国籍企業もそうだけど。それは人間の性とか業とかを超えた、何か悪魔にとりつかれたような狂気の沙汰に思える。 でもそんな中で一般市民がそれぞれに逞しく生き抜く様が頼もしいし美しい。自分の国が経済破綻してしまったとき物を言うのは、農業の知識、柔軟性、信頼できる人を見つける才能、それと個としての自分を信じることができるかどうかだなと思った。

寄生虫なき病 / モイセズ ベラスケス=マノフ著

人類は寄生虫や多様な微生物と依存しあって生きるように進化してきたのに、産業革命以降すっかり“清潔”になってしまい、一緒にバランスを取り合っていたはずの彼らの不在を作ってしまった。 そのため免疫系が暴走して自己免疫疾患ができるのである、という説を論証していく、自身も喘息・アトピーに加えもっとややこしい自己免疫疾患を患っている著者。
確かにこれだけ環境が変わってしまえば、人体がそれについていけずおかしくなるのも無理はない。だからといってもう清潔ではない暮らしには戻れない。 この著者のように自ら寄生虫を取り込んでまで花粉症を治そうとは思わないけど、クローン病とか1型糖尿病だったら考えたかもな・・・。 ただ、たまには土や動物に触れに行くことはできるし(かなり幼少期にしっかり曝露しないと効果ないみたいだけど)、腸内環境に気を配って、抗生物質など(間接的に入ってくるものも含め)でめちゃくちゃにしない努力はできる。
この著者は最後には人間に性別があることすらも寄生虫と共生するためではないかと言っている。だとすれば寄生虫不在の今、性別は必要なくなっているのはないか。 特に現代の先進国では性別がもはや意味をなさなくなっているような気がするのは、寄生虫の不在のせいかもしれない。
自分の体はたとえ寄生虫を飼っていなくてもひとつの超個体、生態系なんだと思うと、これをきちんと管理しなきゃと思う。運動して、栄養を与えて、そしてなによりも平和な気分でいることが、自律神経にプラスに働いて、この体内の宇宙を回していくんだと思う。
色々と考えさせられる本です。

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2014年10月

閉ざされた言語・日本語の世界 / 鈴木孝夫著

神保町の古本まつりでふと目について購入。言語学者の鈴木先生の著書は以前大学の図書館で借りて読んだことがあり、そのときも目からウロコで本当に読んで良かったな〜と思えたんだけど、この本も素晴らしかった。
日本語を12歳までやってから英語の環境に入った私がいつも漠然と感じていた日本語の不思議さ、それを豪快に適切に紐解いて説明してくれる。特に日本語での一人称が相手の性質・相手と自分の関係によって変わることを「相対的自己表現」「相手に依存する自己規定」と言い表されると、今更ながら衝撃を受ける。自己表現をする時にそれほどの制限があったのか、と。
しかもそれは日本語そのものに埋め込まれた価値観であり、それを母国語として使う私自身もしっかりその制限を受けている。それは私が日本語を使って行うあらゆることに及んでいる。そんなことに、35にもなって初めて気付かされた。
いかに相手の理解や、もっと言えば共感をあてにした自己表現をしていることか。もっといえばそれは媚とも呼べるもので、日本でここまでぶりっ子が文化に浸透している所以でもある(これは私の意見)。
ほかにも素晴らしい指摘がいたるところにある。日本語・日本人をとても的確に捉えている。でもこれ書かれたの昭和49年・・・なのに今でもほぼ全部言えること。日本の価値観は21世紀になっても、良くも悪くも鎖国状態で、その大部分が日本語という言語に組み込まれた価値観(一人称だけでなく)に支配されているのかもしれない。

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2014年6月

プリンセス・マサコ 菊の玉座の囚われ人 / ベン・ヒルズ著

外国人の目から見た新鮮かつ言われてみれば納得の指摘。日本の社会全体としての保守的なところ、臭いものにはふたをするというかとにかく黙殺するところとかが浮き彫りになっている。自分も帰国後いろんなカルチャーショックがあったことを思い出した。それにいつの間にか鈍感になってしまったけれど、なんで迎合したんだろう、と本筋とは関係のないとこでへこんだり考えたりした。また、父親との関係もかなり気になる。父親に最終的に守られなかったとは感じなかったのだろうか、彼女は。うつ病の希死念慮に関しても若干の記載があるが、本当に重度のうつ病がどんなものかを精神科医のブログで追ってたことがあるので、なんだかもう恐ろしくて一気に読めなかった。個人的には、このお二人には世間がどう言おうと個人としての幸せを追求する権利があると思うし、日本の悪しき習慣をぶち壊すことで国民のお手本となるのがベストケースシナリオだと思っている。だってもう21世紀だよ?

アンダーソン短編集 / シャーウッド・アンダーソン著

アメリカンスクールの生徒だった時に図書室から借りて読んだアメリカ人作家のパリ滞在日記がたぶんアンダーソンによるものだったような気がする。でも定かではない。あのボロボロだった本、今ではもう絶版なのだろうか。度々ネットで検索するのだけれど出てこない。そこで小説の方を読んでみた。同じトーンのような気もするし、そうでないようにも思う。でもなんだかハマる要素がある。

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2014年5月

サイファーパンク インターネットの自由と未来 / ジュリアン・アサンジ他著

先に暴露本を読んでいるので、アサンジ他2名の言うことがいまいち額面通りに受け入れられず。これはこれでまた真実なのかな、という程度にしか。人の数だけ現実はあるってことで。

Inside WikiLeaks: My Time with Julian Assange at the World's Most Dangerous Website / Daniel Domscheit-Berg著

これ読むとジュリアン・アサンジに対する見方が180度変わる。彼が誇大妄想で虚言壁のあるおかしな人間に思える。でも単に悪意に満ちた、悪口言ってるだけの暴露本ではなく、著者の目から見た現実を淡々と語っているように感じた。なので読んでいて嫌な感じはない。これも著者の目から見たひとつの真実。

芸者論 神々に扮することを忘れた日本人 / 岩下尚久 著

性に対して妙にオープンな日本人の価値観がちょっとだけ分かったような。遊郭にも触れているけれど、とにかく興味深い。でも限られた世界の話なので、そうはいっても女性の社会進出が進んで、これからもっと進むであろう現代において、もう無形遺産とかにしないと存続できないのではと思う。

見出された恋 「金閣寺」への船出 / 岩下尚久 著

『ヒタメン』はインタビュー形式で解説のようになっているけど、こちらは同じ話の小説仕立て。

ヒタメン 三島由紀夫が女に逢う時・・・ / 岩下尚久 著

一人の男としての不器用で一途な三島由紀夫の姿を垣間見ることができる。こんな純愛というかドラマがあったんだなあと驚く。

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2014年4月

原発の底で働いて 浜岡原発と原発下請け労働者の死 / 高杉晋吾 著

放射能でタンパク質が溶けるって・・・。内蔵が出てくるって・・・。読み進めるのがつらい。原発って正に百害あって一利なしということがよーーくわかる。

グアバの香り / ガルシア・マルケス、P・A・メンドーサ 著 木村榮一 訳

ガルシア・マルケスに友人のメンドーサがインタビューしたもの。文学ってこんな崇高なところから生まれるんだ!と驚く。アメリカンスクールの英語の授業で百年の孤独を読んだときにすごく変わった小説だと思ったけれど。英語の訳はいいって本人もコメントしていたので、やっぱりなあと。奥さんもすごいけど、絶対そういう女にはなれないし、そもそもなりたくない。

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2014年3月

毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記 / 北原みのり 著

こちらは女性目線で捉えており、木嶋佳苗の心の内を理解したいというモチベーションに支えられているので幾分好意的というかニュートラル。女性ならではの視点でかなり本質に迫っているという印象。どこまでも嘘を突き通す佳苗だけど、偽りの仮面を生きている人っていくらでもいる。犯罪のラインを超えるのはまた別の話で。自殺にみせかけてというより、血の流れない、殺しのどろどろ感が出ない殺し方を選んだのも、殺すという意識がなかったからかなと思う。とことん男を利用しただけ。ところで佳苗が最後まで嘘つき通すので全然裁判で詳らかにされた感がないのね。著者の言うとおり全部ぶっちゃけて欲しい。そしたらベストセラー作家になれるし本当のファンも出てくる気がする。

別海から来た女 木嶋佳苗悪魔祓いの百日裁判 / 佐野眞一 著

表紙の木嶋佳苗のボカシ写真がすごいインパクト。彼女を男性目線で追ったルポ。木嶋のようなデブスに騙され殺される男性の女性経験の少なさ、見る目のなさを嘆くトーンがある。そりゃ寂しくてしょうがない独身男性に風俗(だったんじゃないかという件はなぜか裁判ではあまり突っ込まれなかったみたいだけど)で培ったテクニックで近づき大金を巻き上げて殺すんだから男の敵だろうけど。

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2014年2月

アウシュウィッツ「ガス室」の真実 / 西岡昌紀 著

下の本(『総統の子ら』)を読んだ後ではすんなり納得できる。そうでなくても冷静に読めばなるほどと納得。かえって安心したかも。

総統の子ら / 皆川博子 著

第二次世界大戦へ突入していくドイツの少年たちが大人になっていき、何の疑問も抱かず信念通りに突き進み、最後には戦犯とされる過程を描くものすごい大作。視点が違うとこうも歴史は異なるのか。すごく重い一撃を食らったみたいな読後感。

賢い皮膚---思考する最大の<臓器> / 傳田光洋 著

皮膚は第2の脳とか言われる所以がよく分かる。精神的ストレスと無意識のネガティブ思考、文句ばっかり募らせるとお肌にすごく悪いらしいということが読み取れた。あと日に当てたり風を感じたり、温泉に入るのも知られている以上の効果がありそう、このロジックで行くと。化粧品会社の人が書いてる本なのに、これ読むと化粧でカバーしてる場合じゃない!って思ってしまう。

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2014年1月

賞の柩 / 帚木蓬生 著

おもしろかった。もしも放射能で殺しをやるっていうのが、証拠が残りにくいということで採用されたなら、今放射能でただちに死なないって安心しているのが滑稽に見える。原因も特定できず数年後に死んでくれるからと放射能を使って殺しができる(そういうストーリーが小説とはいえ成り立つ)んだから、今漫然と被曝しているかもしれない日本に住む人たちって全員殺人の対象になってるってことかいな。少なくともこれが書かれた90年代にはそれが常識だったということであり、都合よく変化する常識が恐ろしい。

日本人が知らない恐るべき真実 増補版 / 阿部芳裕 著

こういう本は次第に発禁の対象になっていくのだろうか。ものすごいインパクトだったけれど納得した。

笹まくら / 丸谷才一 著

お国のために戦争に行かずに忌避者として逃げ回った主人公の疑心暗鬼っぷりと葛藤が現在と過去の同時進行で描かれる。国家の目的は消費を促す戦争だ、いや国家は無目的だからこそ内的緊張を回避するために外的緊張(戦争)を必要とする、という議論が印象的。1960年代に書かれた小説だけど今と本質的な問題は結局変わらない。

少年十字軍 / 皆川博子 著

寓話のようなお話。教会の大義名分に乗っかって狡猾な人間が利益を得ようとしたり、虚栄心を満たしたり、純粋なばかりに犠牲になったり、バカな民衆が熱狂したり。人間の醜いところと高潔なところが見事に描かれている。

双頭のバビロン / 皆川博子 著

すごい大作。途中止まらなくて夜更かししてしまった。こういう話を違和感なく読ませるってすごい力。

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2013年12月

忙しい日でも、おなかは空く / 平松洋子 著

料理が上手いわけではないが何かしら手を加えてみたい、おいしいものを食べたいと思っているところへ、ちょうどいい具合にそそる簡単かつ外さないレシピを紹介してくれる平松さんの本。

ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか / 入不二基義 著

すごく分かりやすいロジックだけど、実際の私という感覚にどこまで沿っているかは別の問題。純粋な実在論において「私」が分解されるくだりはなるほどと思ったけれど。あと話が途中で終わってしまったように感じた。

彼方の微笑 / 皆川博子 著

1980年に書かれた小説なので、スマホもスカイプもない。そんな中で舞台となるイタリアと日本とのやりとりはエア・メール。でも物語はかえって面白くなる。ということは、あらゆることが便利になって色んな情緒が失われてしまった。

キャパの十字架 / 沢木耕太郎 著

ゲルダ・タローのくだりがカミーユ・クローデルを思わせる。私も「崩れ落ちる兵士」にはなんとなくもやっとしていたので、すごく納得した。最初はキャパと二人で世の中ちょろいもんだねとゲラゲラ笑っていたのかも。でもゲルダの死によって墓まで持っていく秘密ができてしまったのだとしたら、激しい人生だ。

小沢一郎はなぜ裁かれたか 日本を蝕む司法と政治の暴走 / 石川知裕X佐藤優 著

数年たてば私も忘れてしまうけど、振り返ってみれば政界ではとんでもない事件がいっぱいあったなあ・・・。

悶死 中川一郎怪死事件 / 内藤國夫 著

今の2世と呼ばれる政治家たちのお父さんの世代の話。へんな話芸能界のゴシップよりもおもしろい。それで政治も国も変わってしまうのだから。

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2013年11月

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて / 佐藤優 著

知らないことだらけですごくお勉強になった。政治にひとかけらの関心もなかった頃の自分がバカすぎると思った。それにしても優秀すぎる人材はやはり日本の組織から浮いてしまうのだな。国益ってなんだろう。

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2013年7月

パフューム ある人殺しの物語 / パトリック・ジュースキント著・池内紀訳(1985)

ド変態だな〜。でも言葉の力によって普段意識しないような角度から物事を見せてくれる魅力的な小説。

「話せない」と言えるまで 言語聴覚士を襲った高次脳機能障害 / 関啓子著 (2013)

My Stroke of Insightみたいに、専門家が脳梗塞により専門領域の障害をかかえてしまうというところから始まる手記及び関係者の記録。専門的でありつつ読みやすい。脳梗塞は適切な処置・治療をほどこし、リハビリをしっかりするなどの努力があればここまで回復できるのかと思った。 また何事もビジョンを持ち目標を定めると体がついてきてくれるというのは私自身大けがから回復するときに身を持って知ったが、脳を司令塔とする体の神秘にただ驚く。脳がいかにイメージや感情などと連携していることか、それを西洋医学的にアプローチすることのある種の無意味さ、普段何気なくできていることの高度さが分かって、私こんなに素晴らしい身体の中にいていいの?と思ってしまった。 これを一人一体与えられて生まれてくるんだから、傷つけあうなんてもってのほか。頭をたたいたり、虐待したり、また争いごとで負傷させたりっていうのが、どれだけの損失か、今一度考え直し、体をきちんと扱う必要があると思う。でないと罰当たり。

歌うネアンデルタール 音楽と言語から見るヒトの進化 / スティーヴン・ミズン著、熊谷淳子訳 (2006)

最近気になっている動物と人間の違いの根源的なところを見た思い。著者の説から途中で脱線して自分の説が出てきたんだけどそれはともかくとして、人間があらゆる動物のいいとこ取りみたいな構造をしていることに衝撃を受けた。著者の意図とは全く違うところにがつんとやられた。人間に生まれたからにはちゃんと形而上的な部分を発達させて生きたい。

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2013年6月

コンサルティングの悪魔 日本企業を食い荒らす騙しの手口 / ルイス・ピーノルト著 森下賢一訳 (2000)

かっこよく内部告発と言う割には結局著者はNASAに移って火星の国際的植民地化計画に関わっている。発想の根っこはコンサル時代と同じだっていうことに気付いてないんだな。またアメリカ式のビジネスは日本の風土に結局は根付かないし、無理があるとつくづく思う。

泥棒国家日本と闇の権力構造 / ベンジャミン・フルフォード、中丸薫 (2005)

ぶっとんだ内容だけど、妙に説得力もある。しかしこの著者二人が怪しすぎる。いろんな意味でおもしろいけど、どこまで真に受ければいいのか。

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2013年5月

アメリカを訴えた日本人 自由社会の裂け目に落ちて / 矢谷暢一郎 (1992)

これはもう日本政府がアメリカ政府に狙われた日本人を守ってくれないいい例だし、本当にこんなこと起こりうるんだ、アメリカってやっぱりそうなんだ、と納得する1冊。

Eat Pray Love / Elizabeth Gilbert (2006)

離婚から旅に出てブラジル人と恋に落ちるまで、文中にもある「I've been there!」というセリフを何度も叫びたくなる。

片頭痛百科 / オリバー・サックス著 後藤眞・石館宇夫訳

人間の身体には状況に対応しつつバランスをきちんと取る能力が備わっているのだとよく分かる。

Ghostwritten / David Mitchell (1999年)

Cloud Atlasと同じキャラクターが登場しており、二度おいしい気がした。入り込めるエピソードと、つまんなくて飛ばしながら読んでしまうエピソードがあり、むらが激しい。けどHoly Mountainの章はラストがツボに入ってなんだかすごく泣けた。

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2013年4月

ナンバー9ドリーム / デイビッド・ミッチェル著 高吉一郎訳 (2001年)

外国人が描く日本なんだけど不思議〜な世界観があってちょっと残る。村上春樹に影響を受けたとあるけど、それも分かるけど内容自体は村上龍のほうなんじゃないかしら。

Cloud Atlas / David Mitchell (2004)

長い!映画がいかにエッセンスだけを拾って作ったか分かった。その上その後も付け足してる。それで3時間近いということは、もっと原作の要素をはしょらずに1部、2部に分けてしまったら良かったのではないだろうか。製作費とかの問題があったのかもしれないけど。濃い世界観だなあ。これを映像にしたっていうのも、すごい話。映画2回劇場で見たけど、また見たい。

ツァラトゥストラはかく語りき / フリードリヒ・ニーチェ著 吉澤博三郎訳

言いにくいことも随分はっきり言うニーチェ。哲学者は大体そうか。いいことがたくさん書かれているが、なんとなくこの時点で既にいっちゃってる感じがあり、読んでいて不安に。頭がよすぎる人は大変だ。学生時代に爆笑しながら読んだ『地下室の手記』(ドストエフスキー)を思い出してしまった。

扶桑国王蘇我一族の真実 飛鳥ゾロアスター教伝来秘史 / 渡辺豊和著

細かい・・・。執念を感じるものすごい集中力で書かれている。蘇我氏がゾロアスター教の西欧系騎馬民族で云々・・・という仮説。古来日本という国はペルシア人と、朝鮮半島から渡ってきた人たちの手で支配されてきたということになる。日本人っていったい何?でもペルシア人が混ざっているなら、たまにすごい外人顔の自称・純日本人がいることの理由になるのかも。それはそれで納得。

ゾロアスター教 3500年の歴史 / メアリー・ボイス著 山本由美子訳

あらゆる宗教に胡散臭さを感じる私だけど、ゾロアスター教は胡散臭さの中にも神秘的なところとまともな考え方があって、バランスがいいように思う。生理中の女性が完全隔離されることとかは納得いかないけど、土壌や水や火を穢れたものに触れさせないようにするための風葬や鳥葬、農業を徳の高い高貴な職業とするところなどは素晴らしい。

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2013年3月

妻を帽子とまちがえた男 / オリヴァー・サックス著 高見幸郎・金沢泰子訳

右脳の機能の大切さを痛感する。『My Stroke of Insight』を思い出す。人間は情報処理をする機械じゃない、もっと高尚な生き物なんだということ。音楽の力、物語の意味、そういう普段見過ごされているものが実はとても大事な役割を担っていることを気づかされ、安心する。 それにしてもこういうトゥレット症候群とかの症例を読んでいるとあまり他人事のような気がしないのはなぜだろう。病気のレベルに達しなくても、誰もがどこかに歪みを抱えていて、うまくバランスをとって生きているんだけど、こういう本を読むと自分の歪みに気付かされる。見る人が見たら病的だと思うのだろう。

レナードの朝 / オリヴァー・サックス著

ドーパミンの威力。L-DOPAを投与されていきなり覚醒する嗜眠性脳炎後遺症の患者たち。でも短期間にでも無理やり目覚めさせるのはどうなんだろうなあ。副作用とリバウンドみたいな結果を読むと、投与するのは医者のエゴでは、と感じてしまう。

左足をとりもどすまで / オリヴァー・サックス著 金沢泰子訳 (1994年)

私も左の大腿骨だったからなあ。私も山で滑落だったしなあ、牡牛のせいではなかったけど。頭も相当打ったけど、著者のように自分の身体の一部が自分のものじゃないと思うほどではなくて良かった。でも脳神経って複雑だからあれだけ打てば何かしら無自覚の後遺症が実はあるのかも、と思ってしまう。 事故、怪我、入院、手術、リハビリ、そのどれもが生々しい記憶を呼び起こす。こういうのって体験した本人にしか分からないし、話しても分かってもらえるものじゃないし、書いて描写することでやっと伝わる。著者が自分の足を取り戻していくシーンに心打たれる。

In defense of food: An Eater's Manifesto / Michael Pollan (2008年)

食事というのは関わり、環境との関係性だと言うのは大事なポイント。日頃私たちはあまりにも原型をとどめないものを食べているので忘れがちだけど、本当は大いなる仕組みの一部を担っているんだよなあ。安いからってしょうもないものを食べることだけはしたくない。

火星の人類学者 脳神経科医と7人の奇妙な患者 / オリヴァー・サックス著 吉田利子訳 (1997年)

色々すごいんだけど、何よりも7人目の患者である自閉症で学者のテンプルという女性の言うことにものすごく共感してしまい、自分にも自閉症的な要素がちょっとだけあるんじゃないかと思い、それにものすごく衝撃を受けた・・・。

核時代のマーシャル諸島 / 中原聖乃・竹峰誠一郎 (2013年)

前半は首都マジュロとアイルック環礁のホームステイ体験レポート。南太平洋の島々に共通する風土や文化がよく見える。後半は核実験とその後の話。アメリカ政府ってどこまで非人道的なんだろう。

南太平洋「ブラッ!」と旅 フィジー・サモア・トンガひとり歩き / 長谷川まり子 (2000年)

サモアの言葉や文化がツバルのそれとかなり類似しているのには驚いた。言葉はもしかしたら半分くらい同じなのでは?写真は白黒だけどとてもいい感じ。カラーで見たかった。旅の姑息な技とか本音とか全部書いてあっておもしろい。

色のない島へ 脳神経科医のミクロネシア探訪記 / オリヴァー・サックス著 春日井晶子訳 (1999年)

全色盲の人が多く生まれる太平洋の島や筋委縮性側索硬化症とパーキンソン病に似た症状を持つ患者が多く生まれるグアム島に脳神経科医の著者が訪れ、見て感じた様々なことが書かれている。近親交配や島の食文化だけでは説明がつかない疾患。いずれにしても血は混ざった方がいいと改めて感じた。

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2013年2月

ぼくは書きたいのに、出てくるのは泡ばかり / ペドロ・シモセ詩集 細野豊訳 (2012年)

この詩人は日系ボリビア2世。非常に情熱的。尊敬する年上の友人からもらったこの本だけをツバルに持っていき、具合が悪いときずっと読んでいた。読む度に南米が恋しくなった。

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2013年1月

笑顔の国、ツバルで考えたこと / 枝廣淳子・小林誠 (2011年)

ツバルに関する情報が網羅されている。『歩き方』にも数ページ分の情報しかない中、これは貴重。

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2012年12月

魂の民主主義 / 星川淳 (2005年)

『小さな国の大いなる知恵』の後半部分が訳者の解説で、それとこの本がテーマを同じくしている。鋭い指摘あり、ちょっときれいにまとめちゃった感もあり。でも偏ったものの見方をしないところがとてもいい。

小さな国の大いなる知恵 / ポーラ・アンダーウッド著 星川淳訳 (1999年)

北米の先住民イロコイ人の伝承と解説と。主にアメリカ合衆国建国の際のこと。彼らが本当の民主主義を白人に教えたという話。それだけでなく女性の権利や富の分配もここから着想を得ていると。すごくおもしろい。

カナダの土地と人々 / 島崎博文著 (1994年)

学者さんの書いた本、という感じ。いい意味で。カナダ人って多様で、つかみきれない感じがあって、本人たちもアイデンティティがまとまらないと言うくらいだけど、こうして解説してもらえると、色々と腑に落ちる。

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2012年11月

日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか / 星川淳著 (2007年)

捕鯨の本は何冊も読んだけど、究極のところ、本当の「なぜ」を書いた本はない。

内なる島 / リチャード・ネルソン著 星川淳訳 写真:星野道夫 (1999年)

訳も内容も素晴らしい。自然との付き合い方を模索する上でお手本にしたい考え方・感覚を学べる1冊。

環境危機はつくり話か / 山崎清、他 (2008年)

温暖化懐疑論者をはじめ、環境問題を疑問視する特定の人物の特定の本や発言を論駁する意図で書かれた本。議論が限定的で攻撃範囲が狭いので喧嘩みたいになっているのが残念。

地球温暖化論のウソとワナ / 伊藤公紀・渡辺正著 (2008年)

地球を人体になぞらえて、アル・ゴアを、生活習慣病にかかった地球を心配する面倒見のいい友人ではあるが、治療できる医者ではないとする。問題は二酸化炭素じゃなくて汚染や森林伐採だというのは分かる気がする。温暖化懐疑論者の方が説得力があるのはナゼ?

消える氷河 / 桐生広人著 (1999年)

当時はこれで良かったんでしょうね・・・としか言いようがない。環境問題へのアプローチって独善的になりがちだ。それまで築き上げてきた伝統や風習は確かに大事なんだけど、何もかも変わっていくのが世の中。同じ生物が長きにわたって支配することもないし。人間や特定の種だけがいつまでも存在し続ける正当な理由・根拠は、地球の側からしたら、ない。キリスト教側からならあるかもしれないけど。そもそも出発点をはっきりさせないとこの議論に決着はつかないだろう。大体、温暖化(あるいは異常気象)の犯人が誰であっても、重油タンカーの事故による海洋汚染とか工場排水の河川への垂れ流しと同じレベルでは論じられない。かわいそうだから守るとか、これまでずっとそうだったから存続させなければ、とかいうぬるい話をするレベルではもうないんだよね。

ツバルよ不沈島を築け! / 石田進著 (2007年)

書き手の洞察力とか気持ちの寄り添い方とかって本を書く上ですごく大事。同じツバルでも人それぞれだな・・・。結論はツバルからの脱出を諦めてとどまれと。海面上昇が止まる可能性を考えるとそれもいいかもしれないけど。せっかく現地まで行ったのに住民との触れ合いはわずかだったようだし、自分の都合優先でまわりを見ようとせず、持ち帰った資料を元にロジックを組み立てた感じがして、全然ピンと来ない。

世界遺産の町クスコで暮らす / すずきともこ著 (2006年)

この著者、すごくおもしろい!一味違う。クスコで地元に完全に溶け込んだ生活をしているその日々のシュールさがいい。海外生活や旅行のエッセイは色々あるけど、その中でもかなり秀逸だと思う。クスコへの愛が伝わってくる。

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2012年10月

『地球温暖化論』に騙されるな! / 丸山茂徳著 (2008年)

説得力あるな〜。でやっぱり人口減少を計画的にやっていかないとって話なんだよね。人間の存在なんて本当は儚い。そこを勘違いしていると本当にしょうもないことに振り回されてせっかくの人生を台無しにしかねない。大きいとこ見ていこう。

チェルノブイリの森ー事故後20年の自然誌 / メアリー・マイシオ著 中尾ゆかり訳 (2007年)

最後のところで何が言いたいかブレている印象。突き詰めていったら放射能が害悪だと断言できるだけのすごい数字とか出てこなかったということなのだろう。定量的なアプローチだとそうなるだろうな。確率の問題にしてしまえば。自然も放射能に適応してくれるし大丈夫さ、といって結局放射能って怖くないんじゃない?というところまで行きそう。しかもそこまで断言する覚悟もないという感じ。

ツバルー地球温暖化に沈む国 / 神保哲生 (2007年 / 春秋社)

なんとなく知ってたけど、こうして詳細に読むと衝撃が走る。取材が行われ最初にこの本が出たのが2003年だから、今はどうなってるんだろう。日本だって原発事故が収束していないんだから、環境難民は他人事じゃない。

自然はそんなにヤワじゃないー誤解だらけの生態系 / 花里孝幸 (2009年 / 新潮選書)

最近こっちの考え方に傾いている自分がいるので、科学的な裏付けがあって参考になった。結論として人口減少を挙げているのにも基本的には賛成。

マゼランが来た / 本多勝一 (1992年 / 朝日文庫)

マゼラン一行が南米大陸で好き放題やって先住民を強奪・虐殺し、その後グアムやフィリピンに行って一方的に洗礼しまくって・・・白人の栄光の歴史を侵略された側の視点で描くルポなんだけど、白人というかキリスト教勢力の傲慢さってこのときから既にあったのね。豪アボリジニといい、白人とはずっと無縁でいたかったに違いない。最後の、日本人が自分たちを「名誉白人」と勘違いしているという指摘、本当にその通り。白人の中にある根強いアジア人蔑視から日本人だけ免除されてると私は思わない。

The Truth About the Drug Companies: How They Deceive Us and What To Do About It / Marcia Angell, M.D. (2005年)

著者はThe New England Journal of Medicineに20年間在籍し、編集長まで務めた後にこの本を著した。アメリカにおける医療って弱いものいじめみたい。

事実とは何か / 本多勝一 (1984年 / 朝日文庫)

本当に事実ってなんなんでしょう。特に報道における事実は限定的なもの。真剣にこういう議論するジャーナリストってアツくて好感が持てる。小和田次郎氏との対談が濃い。

ウルティマ、僕に大地の教えを / ルドルフォ・アナヤ著 金原瑞人訳 (1996年)

書かれたのは70年代。これかなり久しぶりの大ヒットで完全にのめりこんだ。素晴らしい小説。和訳もとてもいい。

Wild Guide: Owls / Cynthia Berger (2005年)

オールカラーでかなり詳しく、北米で見られるフクロウの生態を説明している。

フクロウの民族誌 / 飯野徹雄 (1999年)

この著者の方は相当なふくろうマニア。民話や伝説でどのような役割をふくろうが果たしているかが書かれている。

What's In your Food?: The truth about food additives from aspartame to xanthan gum / Bill Statham (2007年)

食品だけでなく化粧品の成分も網羅している。成分リストには人体への悪影響度が色分けしてあり分かりやすいけど、誤植が多いのが気になる。

親子が輝くモンテッソーリのメッセージ / 相良敦子 (2007年)

お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして / 相良敦子・田中昌子 (2004年)

妹がオランダで通っていたモンテッソーリスクールのことが知りたくて読んだ。すごく興味深い。

Uranium War: The scientific rivalry that created the nuclear age / Amir D. Aczel (2009年)

放射性物質の発見から核兵器製造までの過程が丁寧に書かれている。あと原爆投下も、アメリカの視点から。原子力の平和利用は可能という立場の人。

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2012年9月

Nuclear Energy / Charles D. Ferguson (2011年)

どっかで聞いた名前だと思ったら、著者は日米原子力ワーキンググループのメンバーだった。もう聞き飽きた推進派の論点で書かれている。その上、チェルノブイリの事故はソ連の管轄下だったから起きたとか書いちゃってるよ。いろいろ突っ込みどころ満載。ふくいち事故の2週間後に書いた本だそうで、見通しが超甘い。矛盾に満ちた1冊。著者の顔写真もあるけど、写真って隠せないね〜。

The Botany of Desire / Michael Pollan (2001年)

植物が本当は人間の行いを、自己の繁殖に都合のいいようにコントロールしているという仮説。面白いけど今となっては無理があるかな。

ルポ 原発難民 / 粟野仁雄 (2011年)

大急ぎで書いて出したんだなという印象。すぐに書いてすぐに伝えたかった思いが伝わる。

Food, Inc. / Peter Pringle (2003年)

遺伝子組み換え食品の歴史に焦点を当てている。ファクトばかりを並べているという印象。書き手の価値観や世界観がしょぼいと何を書いても迫力に欠ける。

Tea on the Blue Sofa: Whispers of love and longing from Africa / Natasha Illume Berg (2004年)

北欧出身のハンターであり小説家でもある女性の、亡くなった恋人にあてたメッセージのような詩のような回顧録。

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単 / ハイデマリー・シュヴェルマー著 原田千絵訳 (2001年)

単なる節約とかでなくて崇高な理念に基づいて、本当にいい世界を作りたくてお金から離れた女性の自伝。パワフルで圧倒される行動力。

図解 食の歴史 / 高平鳴海 (2012年)

イラスト付で分かりやすい。古代ギリシャ人の食事がおいしそう!

生命の大地 アボリジニ文化とエコロジー / デボラ・B・ローズ著 保苅実訳 (2003年)

白人入植者の愚かさと対照的なアボリジニのホリスティックな土地とのつながり方。西洋文化ではなくアボリジニの文脈の中で理解しようという試みが素晴らしい。

An Eidible History of Humanity / Tom Standage (2009年)

農業以前の狩猟採集というスタイルがいかに理にかなったものであったか。人間は増え過ぎて食糧生産が追い付かないというところを何度も科学の進歩で乗り越えてきたけど、それで良かったのだろうか?

Fast Food Nation: The Dark Side of the All-American Meal / Eric Schlosser (2001年)

マクドナルドでは二度と食事したくなくなるし、加工品も信用できない。日本はまだマシであってほしい。

アボリジニで読むオーストラリア もうひとつの歴史と文化 / 青山晴美 (2008年)

「白い」オーストラリア人の人種差別の起源がよく分かる内容。アボリジニの世界観はすごく魅力的。

放射能兵器 劣化ウラン / 劣化ウラン研究会 (2003年)

劣化ウラン弾によるヒバクで引き起こされる健康被害は原爆とも原発事故とも似通っている。被害国は日本だけではない。この本を元に自分用の汚染マップ作成中。

21世紀サバイバル・バイブル / 柘植久慶 (2001年)

とりあえず銃撃戦が始まったら、遮蔽物の陰に隠れる、なければ伏せる、ということはインプットした。飛行機の不時着時態勢も覚えた。著者の経歴がすごい。

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2012年8月

戦後史の正体 / 孫崎享 (2012年)

これを読んだらもう元のように世の中を見ることはできない。

反米大陸 / 伊藤千尋 (2007年)

中南米にしてきたことを米国は日本にもするんだろうな、という印象。

動物農場 / ジョージ・オーウェル

今の日本人が読んでおくべき内容。

カタロニア讃歌 / ジョージ・オーウェル

ジャーナリズムの腐敗はスペイン内戦時から既に始まっていたのか。

アース・デモクラシー / ヴァンダナ・シヴァ (2007年)

18世紀まで栄えていたインドの繊維産業はイギリスに真似され根こそぎ持っていかれてしまった。

生物多様性の保護か、生命の収奪か / ヴァンダナ・シヴァ (2005年)

民間療法などを特許化して奪っていく先進国の製薬会社等を糾弾。日本ももちろん加担している。

バイオ・パイラシー / ヴァンダナ・シヴァ (2002年)

先進国がその他の国を自分たち流に改造しようとして破たんした例まで書いてある。

食糧テロリズム / ヴァンダナ・シヴァ (2006年)

遺伝子組み換え魚まで研究中とある。そのうち遺伝子組み換えペットとか出てくるんだろうな〜。

生き方は星が教えてくれる / 木内鶴彦 (2003年)

色々汚いことばかりの世の中で、きらきらとした希望を持たせてくれる1冊。

The Omnivore's Dilemma: A Natural History of Four Meals / Michael Pollan (2006年)

アメリカに生まれなくて本当に良かった!!

My Stroke of Insight / Jill Bolte Taylor (2008年)

右脳の恐るべき実力を見る思い。かなり衝撃的。

The Golden Spruce / John Vaillant (2005年)

ハイダ族の聖なる木を切った男の本当にあった話。森林伐採のひどい実態も。

Overdressed / Elizabeth L. Cline (2012年)

ファストファッションの裏側、真のコストについて。

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2012年7月

The World Without Us / Alan Weisman (2007年)

現代人が、特に先進国の人の生活が、どれだけ地球を汚しているかが分かる。

Into The Wild / Jon Krakauer (1996年)

物質主義・拝金主義のアメリカ式生活を捨て、理想を追い求め、アラスカで死んだ24歳の青年の実話。

ボルドーの義兄 / 多和田葉子 (2009年)

小説。

尼僧とキューピッドの弓 / 多和田葉子 (2009年)

小説。

アメリカ 非道の大陸 / 多和田葉子 (2006年)

小説。コーヒーが飲みたくなった。

核実験は何をもたらすか / 河井智康 (1998年)

アメリカのネバダ州とマーシャル諸島(ビキニ環礁)における核実験の実害と、その実験の意図に関するはなし。

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