Harmonize Nature

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アプト

プロヴァンス、リュベロン地方にあるアプト。町の北側、山の中腹には古い家々とブドウ畑。くねくねと15分ほど車を走らせたところで、住宅街のはずれに出る。
小さな門を入ると納屋を改造したような小さな一軒家。そこに1週間滞在した。石造りの家はひんやりと涼しい。毎日夕日が、ただごとではないような迫力で窓から見える山を照らすので、思わず窓に近寄らずにはいられない。

インターネットもテレビもなく、あまりにも静かだったので、絵を描いて楽しんだ。町のマルシェで新鮮な野菜や美味しいパンやチーズを買い込んで、殆ど自炊していた。昼間は山道を運転して、日帰りで近くの町に遊びに行った。

拠点として

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Figaro Voyageによるリュベロン地方の説明が分かりやすい。

「プロヴァンス北東部、アルプス山脈と連なるリュベロン山麓一帯は国立公園に指定された野生の自然が残る地域。見渡す限りさえぎるもののない広大な大地には森林が生い茂り、オリーブの木々の間にはローマ時代の遺跡がのぞく小さな村が点在する。これらの村は防衛上の理由から丘の上に作られ、”鷲の巣村”と呼ばれる。」

リュベロンは正にそういうところだった。すごくいい状態で残されている、フランス人の誇りを感じるおっしゃれ〜なバカンス用の田舎という感じ。ただし地元紙にも書いてあったけれど、人気のあまり近代的・人工的な建物が周辺に建つようになってしまい、若干がっかりな景観のエリアもある。古いだけでは不便だし、観光客も別荘購入者もどんどん来るから仕方がないのかもしれないが。でもちょっと、プール付きの新しい家とかテニスコートが見えると、がっかり。

ともかく旅のプランを立てているとき、地図を見ていて、リュベロン地方観光の拠点として便利そうだったので、アプトに滞在することを決めた。リュベロンの主要な観光地へはレンタカーがあれば日帰りで行ける。荷物を一つの場所において同じ場所で寝る方が楽だろうし、滞在費も抑えられるはず。

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Locations de vacances

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滞在先は、個人同士の売り買い/貸し借りを載せるフランス語のサイト(http://www.leboncoin.fr/)で見つけたバカンス用の小さな石造りの家にした。ホテルじゃ自炊できないし味気ないし高くつく。ちなみにLocations de vacancesのLocation(ロカシオン)は貸すという意味で、アパートの賃貸にも使われる言葉。
1〜2人用のところから、大家族・グループで泊まれるようなプール付きの一軒家まであるし、学生さんが夏の間実家に帰るので貸す、というレベルのものもあれば、ウィークリーマンションのような家具付きの部屋、はたまた家の中の1室をちょっとしたホテルのような感じで貸しているケース、シャンブル・ドット(フランス版民宿、ブラジルで言うポサーダ)、と色々あるので事前の確認が必要。
期間は最低1週間とか、2泊とか、貸主によって様々。支払い方法も、現地で現金でOKな場合と、事前に振込が必要な場合、PayPalでいい場合、とこれも様々。貸主と直接交渉になるので、語学力がある程度ないとトラブルになったとき厳しいかもしれない。
私のフランス語力ではちゃんと通じるのか不安だったがフランス人は英語のメールなんて読んでくれなさそうだったので、頑張ってフランス語で一通り書いてから同じ内容を英語で書き、最後に「もし分からなければGoogle翻訳を使ってくれ」と書き添えたら、大抵返事が来た。

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ナビに従ってアプトの市庁舎前まで行き、携帯で貸主を呼び出すと、代理人だという若い女の子がプジョーで現れた。彼女のあとから車でついていくと、あっという間に山道に入り、15分ほど走ったところで、車が止まる。もっと街中にあるのだと勝手に思っていたが、思った以上に山の中。
家は納屋を改装したようなワンルーム。タオルも食器も全部揃っており、洗濯機はないけれど、お湯はちゃんと出るし、申し分ない。裏にもう一軒バカンス用の大きな家があったが、今は借り手がいないとのこと。庭もバーベキューセットも使っていいよと言われたけれど、さすがに使い道がない。塀の向こうの大きな家には人が住んでいる気配。駐車スペースの向こうはぶどう畑と、山。家の前の道路を挟んだ反対側には未舗装の道が伸びているが、その先は見えない。
案内してくれた女の子から鍵をもらい、現金で宿代(1週間の滞在で300ユーロ)とデポジットを払った。

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ものすごい田舎に来てしまったと思った。すごく静かだし、人の姿がまったく見えない。寂しくなったら車で山を降りないと。食料も多めに確保しておかないと。でも杞憂に終わった。
実はプリペイドのスティックタイプのものを現地で買っておいたので、それをパソコンに差し込めばネットは使えるようになっていたのだが、初日にうっかりスカイプをしたらクレジットを使い切ってしまった。でもいざとなれば携帯があるし、いい機会なのでネットから少し離れようと思い、敢えてクレジットを買い足さないでいた。
その代わり絵を描いた。毎日真剣に、頭の中を言葉が駆け巡る隙もないくらい集中して、とにかく描いた。さみしいとは一度も思わなかった。疲れたらカフェオレを淹れて、麓のパン屋で買った大きなマカロンを食べ、夕飯はマルシェで買った野菜、オリーブ、チーズなどを使って簡単にパスタやサラダを作った。
家の玄関にはまだ青いぶどうが生っており、垣根にはイチジクの木。庭にはオリーブの木と糸杉。大好きな木に囲まれて、毎日遠くの山の色が夕焼けに染まるのを眺め、とにかく充実していた。プロバンスの山は石灰分を多く含むので、色を反射しやすく、変化しやすいそうで、確かに信じられないくらい山の斜面の色が刻一刻と変化していて飽きさせなかった。
都会で一人でいるとさみしいけれど、自然の多い場所で一人でいることは、別にさみしくもなんともないのはなぜだろう。

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アプトの町

アプトはこじんまりとしているけれど、のんびりとして人は優しく、イヤミがなく、マルシェともなれば町中が人で埋め尽くされて、なかなか雰囲気がいい。強烈な体臭のようなソシソン(ソーセージ)の匂いを嗅ぎつつ歩き回り、パンを買い、シェーブル(ヤギのチーズ)を買い、オリーブを買う。そんなに食べるの?結構あるよと言われつつオリーブを2種類。ここのマルシェで買ったものはどれもとても美味しかった。
ちょっと行けば大きなスーパーやマクドナルド(WiFi目的でお茶だけ飲みに行く)があり、ツーリスト・インフォメーションは親切。

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町の中にはあまり観光スポットはなく、1日で済んでしまうような規模。拠点にしてのんびり滞在するか、マルシェのある日を狙って午前中に来るのがいいと思う。また陶器の博物館があり、アプト焼きが堪能できる。

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