バスターミナルから中心街まで行く道を見事に間違えた方向音痴の私。階段やら坂やらを下って、そこらへんにいた地元のおじさんに道を聞くと、元来た道を戻って(上って)から下れと。これは厳しい。距離を歩くのは苦にならないが、アップダウンが苦手なのだ。
でも行くしかない。ターミナルから見渡す景色はサンパウロ並みのアップダウンで、見るからにきつそう。その上暑い。
体力を消耗しながら歩き回るうちに、フラゴナール美術館にたどり着く前にフラゴナールの小ぶりな、鉛筆だけで描いたような作品を無料で見られる場所に入り、そこで満足してしまった。
今思えばもっと頑張ってその先まで行けば美術館があったのにと悔やまれる。でもそこで見た小さなイラストのような絵には、フラゴナールの技術の高さと美意識がしっかりと凝縮されていた。それまでは何だか見た感じ華やかでウケのいい絵ばっかり描いている画家という印象しかなかったのだが、実はこの人すごいんじゃないかとその時点でやっと気付き(だからこそ有名なので当たり前なんだけど)、一枚ずつなめるように見たので相当満喫できた。
いつも通り教会にも入ってみると、St. Thérèse de Lisieux(リジューのテレーズ)がまつられていた。しょっちゅういろんな教会に入る割にはあまり遭遇しないけれど、リジューのテレーズは私がフランスで大怪我をした時、クリスチャンの知人がお祈りしてくれたご縁でずっと気にしている聖人。久しぶりにお目にかかって嬉しかったのでキャンドルを買って灯した。
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国際香水博物館 Musée International de la Parfumerie
オリジナル香水をつくるワークショップこそ申し込んでいなかったものの、香水だけは買って帰ろうと決めていた。その前に更にテンション上げるために香水博物館へ。
香りを展示するってどうやるんだろうと純粋に興味もあった。外観の古さとは裏腹に、中はかなり新しくモダンにしてある。最初に原料となる植物のある温室へ行くようになっている。ここでそれぞれの香りを楽しむ。
そのあと歴代の香水ボトルの展示や、製造に使われていた古い機械の展示があり、ドラッグ類の香りを嗅ぐコーナーを抜けて行く。日本の香炉もあった。香道の道具のセットのようなものもあるのだが、説明が全くないのがすごい。日本語が読めないせいか何かの札が逆になっていたり、ずいぶん適当だった。
でもかなり独創的で楽しい博物館だった。ちゃんと銅のボトルに入った香水を買って、終了。噂通り香水のショップはどこもかしこもテスターを使いまくるせいでむせるような強烈な匂いが充満していたので、ひとつひとつの匂いの違いが最後には分からなくなり、適当に選んだ。でも気に入って今も使っている。
香水の町に来たことで浮かれてしまった観光客につけこむように大量のコスメが販売されている中、欧米人らしからぬミーハーさで商品を買いあさっていたのが印象的だった。英語で商品説明をする売り子さんに群がる白人女性たち。行きのバスではカナダ人女子のグループと一緒になったので、南仏にあこがれる北米のお客さんも多かったのだろうか。すごい剣幕で引いた。
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