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ニューヨーク

トロントから近いような遠いようなニューヨーク。飛行機でも行けるけどバスも出ている。

けれど10時間以上乗らないといけないし、国境は越えるし、足はむくむし、ちょっとした旅だった。

グレイハウンド

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トロントからニューヨークへはバスで行ける。といっても国境での混み具合により11〜13時間くらいかかってしまうが。グレイハウンドとメガバスという2つのバス会社が1日1〜2本運行しており、夜行バスもある。飛行機ももちろんあるが私は飛行機が大嫌いなのでバスにした。町中発着だし。
料金は直前にオンラインで購入して往復120ドル弱だった。事前に予約するともっと安くなる。予算としては、それにESTA14ドルと、往路のときだけ払わされる国境使用料6ドルが加算される程度なので、悪くないと思う、時間さえあれば。

トロントの乗り場はイートンセンターの裏手、Dundas駅から地下でつながっているターミナル。NYではPort Authority Bus terminal発着。
バスの中はWiFi(スピードは遅め)とコンセントの差込口があって便利。座席は自由で、人数が多いときは臨時で台数を増やす。クーラーは強めなので私は小さいブランケットを持って入り、ずっと肩にかけていた。
国境で私は6ドル払ったけれど、国籍によっては払わなくてもいいようだった。パスポートが一度盗難にあっているのでしつこく質問されて大変だった。南米チリで盗まれた前後アメリカでトランジットしているので、前回Estaをとったときと番号が違う。
それで根掘り葉掘り聞かれ、職員は3回電話をかけにいき、挙句パスポートのフルメイク写真が、イミグレ通過時のどすっぴん顔と違うと言い出した。他の写真付IDはないか、と聞かれた。運転免許証はあいにくトロントに置いてきていたのだが、持っていてたとしても更に昔のきっちりメイク写真なので、役に立たなかったであろう。

NYに着くまでは田舎の風景が楽しめる。農園にも何にもなっていない、ただの森が広がっていたりするのがいい。意外と湿地帯が多いようで、沼地をよく見かけた。うっかり遊んでいたら溺れるんじゃないかと思うほどだった。道中退屈だという意見もあるようだけれど、私はすごく好きだった。北米の自然もきれいなんだなあ、もっと見たいなあと思う。
日中走るバスをあえて選んだのは、この景色が見てみたかったからだ。

そしてギラギラした夜のNYマンハッタンに到着。目がちかちかするほどのネオンでとても明るい。

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ミュージカル『メンフィス』

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NYには妹が住んでいる。一緒に歩き回って観光し、ブロードウェイミュージカルを見た。
TKTSでほぼ半額になった当日券を買い、夜20時に劇場へ。私たちが見た『メンフィス』の主演は、『レント』のロジャー役だった彼。正にあの声だった。
1950年代のテネシー州メンフィスが舞台。2010年トニー賞受賞作だけあって素晴らしい出来栄え。舞台演出、大道具でも見せる見せる。黒人の音楽が白人に受け入れられ始めた時代、差別はまだまだあるけれど音楽が媒介になって変化を起こしていく。ラブストーリーが中心になって。
うっかり油断していたらものすごい引き込まれてしまった。すぐそこで演じているのに完全に別の世界がそこにはあった。演技も唄もダンスもとにかく素晴らしい。中毒になる人の気持ちがよく分かった。思いがけず泣いて笑って、映画を見るよりも強く心を動かされた。魂を揺さぶるような声って本当にあるんだなあ。
脇を固めている役者も相当なレベルの高さで、最後はお客さん総立ち。見ている方のノリの良さと反応を見て、お客さんもかなり何度も足を運び、目が肥えていることがよく分かった。日本の観客はそれに比べるとおとなしい。それがパフォーマーへの礼儀だと思う風潮もあるのかもしれないが。

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メトロポリタン美術館

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NYにはピースボートのCC仲間で、下船後に結婚したマナミとキヨも住んでいる。ちょうどNYに遊びに来ていたイナ、急きょ駆け付けてくれたワシントンDC在住のナンシー、総勢5名のCC同窓会が実現。
私はこのCCたちが大好き。苦楽を共にしたとか同じ釜の飯を食ったというだけでなく、価値観を共有しているからだと思う。分かりやすい地位や名誉やお金を目標にしていない。人生の目標、生きがい、やりがい、ほんとうの幸せ、そういうものを見据えている。
だから再会して少しでも時間を共にするとすごく元気になれる。話が合う人ってそうそういない。

5人でメトロポリタン美術館へ。ここではPaul Delvauxの絵がどうしても見たかった。高校生の時ベルギー王立美術館で見て以来大ファンなのだ。特にここにある夜汽車シリーズが大好き。
なぜかというと私の見る夢がたまにこういうトーンだから。ふか〜いところで、知っているという感じがする。またデルボーの描く夜の色、あれはヨーロッパのそれだ。裸婦と骸骨と夜。いつも同じ顔の女性が描かれる。ちょっとよしもとばななさんの本の装丁に使われる原マスミさんの絵にも似ているかもしれない。女性の顔は。

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ニューヨリカン

ニューヨークのプエルトリコ人たちによって生み出されたサルサ。彼らはニューヨリカンと呼ばれる。
私がNYへ行った週末がちょうど彼らのお祭りとかぶったらしく、どこへ行ってもパレードと出くわす。プエルトリコの国旗を身にまとい、サルサの音楽を流しながら踊り、練り歩く。けれどそれは決して洗練されたものではない。

経済格差が顕著なNY。彼らニューヨリカンはかなりの低所得者層に属する。警察は問題を起こすことを見越してかなりの人数を配備。ちょっと近寄って生意気な口を聞こうもんならその場で取り押さえられ、後ろ手に手錠をかけられる。
歩いていたらパレードに出くわしてしまった私たち。突然目の前で一人の男性が警官15人くらいにあっというまに押さえつけられ手錠をかけられた。あっけにとられた。彼は何もしていないのに。
そばにいた女性が大声で「私の息子に何をするの!まだ17歳なのに。何をしたっていうの?」と言って抗議しても聞く耳を持たない。周りにいるラティーノたちはiPhoneやデジカメでその様子を撮影し、口々にYouTubeにアップしてやるから!と言っている。
1ブロック歩かないうちに似たような光景をまた目撃した。NYPDはとにかく彼らをいかにも見下した態度で、手錠を誰彼かまわずかけることが目的であるかのように目を光らせていた。
イナが言った。アメリカは言論の自由があると言うけれど、予想以上のリスクが伴うので、結局自由ではないと。

地下鉄の中でも興奮冷めやらぬ彼らは大絶叫、大熱唱、プエルトリコ!と口々に叫ぶ。ところが何の祭りなのか?と聞くと、まともに答えられる人は少ない。何がめでたいのか誰も知らずにものすごく盛り上がっている。白人やアジア人、他の黒人が白けた目を向ける中、あそこまで興奮しているのだから、さぞかし大事なイベントかと思いきや、その主旨は曖昧だった。
後で調べたらプエルトリカン・デイというヒスパニック系のアメリカ人のために行われる年に1度のお祭りとのことだった。プエルトリコはグアムのようにアメリカのコモンウェルスのひとつ。スぺイン語圏だけどアメリカで、人々のアイデンティティや自尊心の問題は大きいと思う。

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ハイライン・パーク

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もう使われなくなった線路を改造してできたきれいな散歩コースがハイライン・パーク(公式サイト)。緑の少ないNYにあって(東京から行けば気にならないのだろうけど、トロントから行くとかなり少なく感じた)ほっとできる場所のひとつだろうと思う。
長く伸びる遊歩道。途中自由の女神の姿が見れるポイントがあった。

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チェルシー

色々なエリアに分かれておりすべてが見どころといっても過言ではないであろうマンハッタン。土日だけでかなり歩き回ったけれどチェルシーは素敵だった。
妹おすすめのLe Pain Quotidienというベーカリーカフェでランチ。といってもベルギー発祥のお店だけれど。とても美味しかった。トロントではおいしいパン屋がそんなになかったので、その点でNYのパンには満足。パンが美味しいと贅沢な気持ちになる。

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