ラ・パス(La Paz),チチカカ湖
2009年12月1日〜6日
チチカカ湖からみんなが戻って来る頃には下痢も止まり、体調は回復したかに見えたので、旅を続行。ボリビアへ渡った。
チチカカ湖沿いの道路を延々走って首都ラ・パスに着いた初日、ホテルの窓から満月と雪をかぶったイリマニ山(Mt Illimani)が見えた。
ホテルはラ・パスの中でも特に危ないエリアにあるとのことだった。確かに何となく汚いし、ジャンキーがたまにうろうろしているが、特に個人的に危険を感じることはなかった。ボリビア人は観光客を観光客扱いしないと聞いていたがその通りで、じろじろ見られることもなく、自意識過剰にならずに町歩きを楽しんだ。
ボリビアは南米の中でも格段に物価が安いので、つい買いすぎる。ここで荷物をかなり増やしてしまった。
ラ・パスからもチチカカ湖日帰りツアーが出ている。プーノでチャンスを逃していたので、町のツアー会社で申し込んだ。巨大なチチカカ湖は、ボリビア側からはカトリックの聖地コパカバーナと、インカの聖地太陽の島へ行くことができる。太陽の島はインカの初代皇帝とその妹が遣わされた場所、神聖な地だ。
行く途中乗合バスで隣の席の男の子と話した。強いフランス語の訛りがある英語を話す彼は、聞いてみると料理人。旅の途中で資金がつきたらレストランで働いてしばらく稼ぐのだそうだ。私も旅をずっと継続させたいと思っていたが、それにはどうしてもまとまったお金が必要となる。旅をしながら稼ぐことができればいいとずっと思っていたので、彼のやり方は羨ましかった。
かわいいブラジル人の“友達”と一緒にしばらく旅をしているとのこと。自由にやりたいように旅をする姿が印象に残った。次はあのスタイルだな、と思った。
最初に向かったコパカバーナではカテドラル(Basilica de Nuestra Señora de Copacabana)の前で、車のお祓いを終えたばかりの神父さんに遭遇。ガイドと私を見ると、手に持っていた造花とバケツに入ったお神酒でお清めをしてくれた。
そこからボートに乗り到着した太陽の島では、まずは水源不明のインカの湧水へ。
インカの建造物の特徴である「3」つの口から水が出ている。地元の人が料理などに使っていると言うので、その神秘の水をどうしても飲んでみたくなり、試してみた。濃いミネラルの味がして、飲んだ途端に気分がすーっと落ち着いた。不思議なのだが、それまではちっとも役に立たずにさぼってばかりのガイドなどに煩わされていたのに、この水を飲んだら全てどこかへ消えてしまった。湖面を見ていても、つまらないこだわりを捨てろと言われているよう。さすが聖地だけのことはある。
チチカカ湖の水はすごく透明できれいだった。
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ポトシ(Potosi)
2009年12月7日
ラ・パスから駆け足でポトシ、そしてウユニへと南下した。道は舗装されておらず、かなりの悪路でがたがた揺れて、腰が悪くない私でも腰が痛くなりそう。
景色はどんどん砂漠化して、インカの石積みは赤レンガに変わり、そして砂丘が見え始め、花をつけたサボテンが見えるようになる。砂埃がすごい。トラックの窓を閉め切っても車内が砂まみれになるほどだが、サボテンは逞しく生き生きとして、元気そう。山の形がむき出しになっていく。
眺めながら、自然のこと、地球のこと、大好きだよ、ここに来させてくれてありがとう、と心から思う。
ずっと標高4000m前後を行くので、どこにでもリャマがいる。白、黒、茶色、色がまざった子もいる。実はリャマは私が中学生の頃、よく夢に出てきていた。
そのときはリャマが実在することを知らず、自分が頭の中で勝手に作った動物だと思い、真っ白で妙にでかく、首とまつ毛がやたらと長いこの生き物がすごく怖かった。でも実在すると分かって会いたくなって、ここに来て会えて本当に良かった。
仕方なさそうにだるそうに走る姿、もそっと座っている姿。岩場を歩くときは思案しながら軽やかに足を運ぶ。いつも食事しているので滅多に首が上向きになっていることがない。
夕日は赤い岩肌を更に赤くして、辺り一面が全て夕焼けとなった。陸路で途中の山々の景色と動物たちを見ながら、ずっと継続してアンデスを行けて本当に良かったと思う。夕日も何度も見るが、その都度違った良さがあり、一度たりとも見逃せない。
ポトシでは鉱山ツアーにはいかず、半日街歩きをして、ベジタリアンレストランにランチをしに入った。すると相席になった男性が無印のノートをテーブルに置いている。思わず話しかけて友達になった。イタリア人のチェリストだった。
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ウユニ(Uyuni)
2009年12月8日
念願のウユニ塩湖(Salar de Uyuni)に遂に到着。この旅の中でもかなり楽しみにしていた場所だ。
湖というより、塩でできた砂漠。装備なしに人が歩いて行くことを想像するだけで死にそうだ。晴れ渡ると影もできず、照り返しは強い。
雨期は水が薄く張って全てを反射する美しい景色が有名だが、私が行った時は残念ながら乾期で、カラカラに乾いていた。
塩湖の中にはおよそ14の島があり、そこにだけは植物が生えている。そのうちの1つ、魚の島(Isla de Pesca)はインカ・ワシ(ケチュア語で「インカの家」)とも呼ばれており、インカ人がここにサボテンを植えたことに由来する。それにしてもやりすぎだろうと思うくらいサボテンで覆い尽くされている。
ウユニ塩湖にはたくさんの観光客が訪れているのにもかかわらず、ふと辺りを見渡すととても静かで、音という音が吸い込まれるよう。全くの静寂、きーんという耳鳴りがしそうな程無音で、生き物を拒む場所。でも何もないからこそ可能な、お約束のおもしろ写真をいっぱい撮って、日が沈むまで遊んだ。遠近感がないのを利用して色々な写真が撮れるのだ。
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ツピサ(Tupiza)
2009年12月10日
ウユニからアルゼンチンとの国境を目指しツピザに向かう。道は更にひどい悪路で乗り心地はこの旅の中で最も悪かったが、それを忘れさせてくれる程の景色に囲まれる。奇岩やサボテンだらけの乾いた景色が素晴らしく、リャマもたくさん見ることができて大満足。
標高4000mのアンデスでこんな砂漠の景色が見られるとは思わなかった。南米大陸の西側は本当に乾いている。
そんな中サボテンは「わーい!」と言って拳を空に向かって突き出しているかのように元気いっぱいに真上に伸び、そびえる奇岩は全部自然がつくったとはとても信じ難い複雑な形。まるで宮殿や高層ビルのようで、見ているこっちもテンションが上がる。山肌の色はバラエティ豊か。尾根を遠くまで見渡せる広い景観を、窓から身を乗り出さんばかりに眺めた。もうアンデスの標高の高い場所からは離れてしまうので、見納めだ。さようならアンデス!大好きアンデス!
そして、なんじゃこの赤い山は!と思ったら到着。赤い山の麓の町ツピサでは、馬に乗って奇岩の中へ。大がかりな映画のセットのような奇岩に囲まれる中での乗馬。このエリアにすらインカ道の一部があった。随分広範囲に渡って支配していたのだと分かる。でもインカの足跡をたどれるのは、ここまで。
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